僕でいること (ページ26)

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翔太side ページ26

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だから言ったのに

優先席には座りたくないって言うから、立ったまま電車に乗ってたら案の定貧血になった涼太

体が軽く揺れた気がして顔を覗き込めば、真っ青でびっくりした

苦しそうな息遣いを聞きながら電車に揺られること数分、最寄り駅に着いた

｢涼太、降りれる？｣

涼｢ん...｣

あいにく涼太の方がガタイがいいから上手く支えられないけど、なんとか近くのベンチまで運ぶ

｢駅員さんに言って休ませてもらお？｣

涼｢いい...すぐ治る...｣

膝に置いた自分のカバンに顔を埋めるようにして、息を整えてる涼太

｢横になった方が楽じゃない？｣

涼｢...｣

動く気はなさそうだから、仕方なく背中をさすって落ち着くのを待つ

目立ちたくないみたいだし、カバンからタオルを取り出して、頭にかけてやって

ふと顔をあげれば、近くにいた同じ制服の生徒がこっちを見てニヤニヤしてる

目が合ったから見んなよって気持ちも込めてキッと睨んでやると慌てて逃げていった

｢大丈夫か？｣

涼｢ん...もうちょっとまって｣

｢ゆっくりでいいよ｣

しばらく背中をさすったままでいると、電車から降りた人たちも減ってきて、ホームも人が少なくなった

涼｢ごめん、もう大丈夫...｣

やっと顔を上げることが出来た涼太は、さっきよりは顔色も良くなった

｢歩ける？無理そうならホームの中まで誰かに迎えに来てもらう？｣

涼｢いや、家まで歩いて帰れるよ｣

｢はぁ？無理だから。誰かに連絡するよ｣

涼｢お願い、心配かけたくないの。保健室の事も、さっきの事も内緒にして...｣

眉を下げてお願いしてくるけど、さすがに無理がある

さっきの涼太を見てそう簡単に頷ける訳が無い

｢無理。また倒れたらどうすんの｣

涼｢大丈夫だから、大事にしないで。それに、翔太だって内緒にすることあるでしょ｣

そう言われてしまえば、同じ事をしている俺も言うことがなくなって口を噤むしかない

涼｢ね？大丈夫だから。ありがとう｣

タオルを丁寧に畳むと、立ち上がって歩き出したから、慌てて追いかけた

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