涼太side ページ25
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保健室に行ったことと、体調が悪かったことは、翔太にすっかりバレてしまって
なんだかすごく過保護に世話を焼かれている
大したことないのにな
電車に乗ると、帰る学生でいっぱい
翔「ほら、あそこ空いてるから座ろ」
「え、やだよ。優先席だし」
翔「体調悪いやつはいいの」
「大丈夫だから、お願い」
さすがに優先席に座るのは気が引ける
不服そうな顔をしてるけど、何とか翔太を説得させた
ガタガタと電車に揺られること10分ほど
「なぁ、あれ涼太じゃね?」
「え、まじ?電車で帰ってんじゃん。じゃあさっきまで保健室にいたのはサボりかよ〜」
クラスメイトの声が聞こえてきて顔を上げると、少し離れたところにいるのを見つけた
翔太にこれが聞こえてたら...と途端に不安になって、翔太の方を見たけど、イヤホンをしてて気づいてないみたい
バレていないことにほっとする反面、やっぱりそう思われてるよなぁって悲しくなる
幸い今日は金曜日で明日から2日間休みだけど、月曜日にまた何か言われてしまうだろうか
「まって、片割れと一緒じゃん。まじで全然違うな」
「翔太は人気者だけど、涼太は陰キャって感じだしな。笑」
「おい、聞こえるって。笑」
嫌な声ほど、耳に入るもので、聞いているうちに体がふわふわしてきた
やばい、この感覚、さっきの...
ここで倒れたらまたバカにされる対象になる
そう思えば思うほどふわふわしてきて、冷や汗が止まらない
翔「うわ、顔色やば。大丈夫?」
「しょーた...」
翔「しゃがむ?」
こんなところでしゃがんでたら目立つに決まってる
首を振ると、翔太は、背中が壁に当たるように体勢を立て直してくれた
翔「あと3分で着くからな」
「ん...」
グラグラするのが辛くて、翔太の胸に頭を預ける
「なんか甘えてる?キモ。笑」とか、心無い声が聞こえてきて、翔太にも申し訳ない
でも、意識がふわふわしてその声すらも聞こえにくくなってきた
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作者名:きゅん | 作成日時:2024年1月1日 22時