佐久間大介が愛するのは ページ12
あのあと。
なんだかんだみんな酔ってたから…Aちゃんをおんぶして、照の車に乗って。
後部座席で、寝ているAちゃんの隣で、帰ってる。
蓮が最初に降りた。降りるときに、ほっぺをちょんって触ってた。
阿部ちゃんが次に降りた。降りるときに、髪の毛をさらっと触ってた。
その後降りたのはふっか。降りるときに、頭をふわって撫でてた。
Aちゃんは、その間もずっと寝てて。俺の肩に頭をのせて、寝てて。
俺だけのものにしたいのに、俺だけのものになってくんない。
みんなに触ってほしくないのに、止めることができない。
俺の気持ちを言ってはいけないことを
俺はよーーーーくしってる。
佐「気づいてくんないんだよなぁ」
漏れた、声
言えないならせめて、気づいてもらえないかと思ったけど…この子は賢いのに鈍感らしく。
なかなか気づいてもらえない。
佐「ちゅーでもしたら、流石に気づくかなぁ…」
岩「さくま、口から出てる」
佐「…にゃは、出ちった」
岩「…俺だからいいけど。他の奴らがいるところでは気を付けろよ」
佐「…うん、わかってる」
肩に乗る頭。サラサラの髪の毛を撫でると、微かに身動ぐ。
A「……んぅ……」
この声も、この身体も、全部俺のものにならないかな、なんて。
思うことだけなら、許されるよね。
岩「…ついた。さくま、Aちゃん起こして」
佐「りょーかい。Aちゃん、Aちゃん、起きて?」
A「んーーーー…」
抱き枕かなにかと間違えているのか、唸ったと思えばぎゅーしてくれるAちゃん。
かわいいけど、起きなきゃ。
佐「Aちゃん、起きて?おうちだよ」
A「おうち…? …えっ!?家!?あれ?なんで?」
佐「起きた?会はお開きになったよー。ひかるが送ってくれたのよ?」
A「わあわあわあ!ひかるくんごめんなさい、有難うございます!」
岩「いーえ。大丈夫?帰れる?」
A「はい!飲みすぎました…シャワーだけ浴びてねます、有難うございました!」
佐「気をつけてね、じゃーね!」
A「うん、有難う!またね!」
すこし酔いがさめた様子のAちゃんに安心して、手を振る。
ふぅ…
岩「…じゃ、最後はさくまんちね」
佐「ん…ありがとね、順番。最後にしてくれて」
岩「ん?べつに?行きやすかっただけだし」
佐「…そか」
嘘つき。めちゃくちゃ遠回りじゃん。
優しいな、俺のニコイチは。
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作者名:まめ | 作成日時:2023年2月27日 11時