佐久間さんちは今日も幸せ3

2 ページ41

翔「康二、お前腰から下の重心落としすぎ。だから移動がワンテンポ遅れるんだよ」


涼「正確には間違いじゃないんだけどね。フォーメーションダンスの時は、なるべく周りと揃えるようにした方が見栄えがいいよ」


翔「お前、ダンス習ってたんだろ。そん時の癖は直した方がいーぜ？」


康「っ、は......いッ」


息切れして床にへたり込む俺に、翔太くんと舘さんの叱咤激励が飛んでくる。


翔太くんの言葉はぶっきらぼうに聞こえるけど、以前ほどのキツさは感じない。


必死で練習すること2時間ーー。


同じくらいの運動量をこなした2人の息は、ほとんど乱れてなかった。





＊





舘「でも筋はいいよ。時間がある時は練習に付き合ってあげるから、コンサートまでに仕上がるように頑張ろう」


康「舘さん.......ええの？」


翔「いいも悪いも、お前が上達してくれないと俺らも困るわけ。死ぬ気で食らいついてこいよな」


康「ん…翔太くん、俺めちゃくちゃ頑張るわ」


翔「当たり前だろ。メンバーが増えたからBlack Goldのレベルが落ちたなんて、ぜってーに言わせねーよ」


厳しい中にも、俺に向けられる彼の表情には以前にはない柔らかさを感じる。


あんなに遠かった翔太との距離が少しだけ縮まったような気がして、鼻の奥がツンと熱くなってしまった。

＊お花見→←＊ゆり組

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す