ハコヅメ〜たたかう！元刑事課女子〜2

アドバイス ページ15

山田 side


藤先輩が話していたところに入って行ってAと川合を連れて行く。


山田「ちゃんと直してやってくれよー、毎回再現で酷い目にあってるんだ。」


川合「はい、」


備品倉庫の中で

Aがソーイングセットで人形の下着をぬい直す中、

俺と川合で人形を片付ける。


山田「川合はさ、今俺に襲われたとしたら、それをどう証明する？」


川合「えっ、？」


山田「パクられたら、俺は合意があったって言い張るよ。人生かかってるからな。」


手が止まる川合。


山田「相手に合意があったかどうかで、同じ行為でも犯罪か、そうじゃないかが変わってくる。川合なら、自分が受けた暴行をどう証明する？」


川合「証明…」


川合に座るように言って話を続ける。


山田「例えば、乱暴された時に傷ができたとするだろ？でもその傷一つとっても、女の人によっては全然違ってくる。だから、川合自身の経験とか、体質とか確認が必要になってくる。犯人の性犯罪の手口を特定するために警察は、どういうふうに乱暴されたか、覚えてる限り詳細に説明を聞かなきゃならない。」


静かに話を聞く川合と、一言も発さないA。


山田「被害者にとっちゃ、言いたくも思い出したくもないことだ。じゃあなんで警察官が、被害者に更に辛い思いをさせなきゃならないのか。それは、俺らが被害者に聴取した内容が真実なのか、裁判で審議にかけられることになるからだ。実際、彼氏に浮気がバレた女の人が、浮気を暴漢だって申告した事案もあった。そういう虚偽の事件じゃないって証明するために、一つ一つ捜査を積み上げていかなきゃならない。
…隙だらけの捜査じゃ、被害者も被疑者の人権も守れない。藤先輩の言ってた“覚悟”っていうのはそういう事だと思う。」


川合「…」


山田「俺はさ、何度も何度も見てきたよ。あの藤先輩がだよ？性犯罪の捜査の度に苦しんだり悩んだりを繰り返してきたのを。もちろんAも。
…A、言ってたろ？警察官の仕事なんて報われないことばっかりだよ。でも、この町で事件があれば俺たちで何とかするしかねぇだろ？傷ついた被害者、傷つけた犯人も、このまま放っておいたら何のための警察だよ。」


今も、悩んだままのAの気持ちを考える。


山田「ごめん、なんか喋りすぎたな。」


川合「いえ。」


山田「源先輩とペア組む前、源先輩とちょっとだけペア組んでたことあってさ。なんか川合見てたらそん時の事思い出しちゃって、」


『…』

捜査→←責任

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